三年後、会社を辞めて旅に出よう

アラフィフシングルライフ

琉球交易港図屏風のこと-1

旭橋の縄県立図書館の最上階フロアである五階には郷土資料室がある。ここには沖縄関連の出版物が所蔵されており、たぶん世界中で一番沖縄県に関する資料があつまっている場所だ。県出身者の著作だけではなく、沖縄に関する紀行文や沖縄を舞台にした小説、さらには県産品についての記述があるだけの本もあったりして調べ物をするのに便利だ。

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先日図書館にいき本を物色しているとき目についたのがこれ。『日本近世生活絵引 奄美・沖縄編』。手に取ってみて面白そうな本のにおいを感じてひらいてみたらこれが大当たり。出版元は非文字資料研究センターというところだそうだが、文字資料ではなく絵を読み解くという研究をしているところで、奄美・沖縄編では『琉球交易港図屏風』等をとりあげて解説している。

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琉球交易港図が描かれたのは19世紀。那覇港をいきかう中国との交易船やハーリーの様子を中心に那覇の町のようすが描かれている屏風絵だ。『洛中洛外図屏風』などとおなじく当時の那覇にすんだいろいろな人々の生活を垣間見ることができるが、単にみるだけではわからないことが多い。絵はやはり「読み物」であり知識がなくてはその意味はわからない。

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この本では、屏風絵の部分部分を拡大してを取り上げ、描かれたものに対する解説をていねいにつけておりわかりやすく興味ぶかい。下の部分で私は船に日の丸が掲げられていることや、船員が着ている服が明らかにズボンで和服や琉装ともちがっていることが気になった。中国人の船員が多かったのか。

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また、今の那覇にのこる地名が見える点。それから今の那覇市街とはずいぶんと地形がちがっているところがはっきりとわかる。ただ屏風絵では地理的な正確性はあまり重視されていないため三重城や波之上、天久などの地理関係はちょっと混乱するかもしれない。

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それにしても、当時の那覇には馬場があって馬勝負(琉球式の競馬)が行われていたとか、波之上には当時から鳥居があったこと。またその近くにバクキヤ(博打屋?)があって人が興じていることなど。こまかく見ているといくら時間があってもたりないくらい面白い。